映画における「リメイク」の意義
これは今に始まった事では無いのですが、最近は特に旧年の名作のリメイクものが多く感じられます。
「旧作を掘り起こし、現代の層に作品の素晴らしさを伝える」という意味では大変有意義ではあるとは思います。
近年の撮影カメラのクリアさ、カメラワーク、CG技術などを駆使したこれらのリメイク版映画ですが、内容的にどうかと…。
原作を忠実にトレースした上で現代の技術を用いた作品は、原作へのオマージュ感がくみ取られ、素晴らしいものに仕上がっているはずですが…正直「!?」と思えるものも少なくありません。
例えば2012年公開のアメリカ映画「トータル・リコール」。
これは1990年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の同名映画のリメイクですが、これが本当に「!!???」と思える仕上がり。
旧作を忠実に再現した感があり、CG技術も以前とは比べ物にならないくらい上のものに仕上がっていますが、個人的には非常につまらない作品になってしまいました。
例えば主人公が自らの体内に仕込まれた発信機を取り外すため、鼻の穴に器具を挿入して引っこ抜くシーン。
アーノルドの鼻の穴がありえないぐらい広がって無理やり引っこ抜くその様は、滑稽ではありましたがリアリティに溢れ、シリアスな展開のストーリーに見事なスパイスとなりました(このシーンは肉体派でありコメディもこなせるアーノルド・シュワルツェネッガーだったからこそハマったシーンだと思います)。
また、物語終盤で空気のない外部へ飛ばされ、あわや窒息しそうになる主人公とヒロインのシーン。
真空状態に近い環境で、2人は目玉が飛び出しそうになったり顔面が膨張して破裂しそうな状態で苦しみもがきます(もちろん危機一髪で回避できるのですが)。
対してリメイク版では、同様なシーンは全てスタイリッシュに収められており、人間の「泥臭さ」があまり感じられない。
…と言うよりも物語全体が前作の単なる「踏襲」で終わってしまっている感が否めません。
…でも、ここで私がお伝えしたい事は、リメイク版に対する「批判」ではなく「元となった作品と見比べてみる楽しみもありますよ」、という事。
例えば、2015年に公開されたオーストラリア作品である「マッドマックス ~怒りのデスロード~」などは全体的に高評価を得ている作品ではありますが、その元となる1979年公開の同タイトル(メル・ギブソン主演)を観れば、その迫力と主人公マックスが背負う「哀愁」を強く感じられると思います。
総論「どっちにしても、映画って色んな楽しみ方があって最高ですね~♪」^^