配 給:ワーナー・ブラザーズ

監 督:ティム・バートン

出演者:
ジョニー・デップ
ミシェル・ファイファー
ヘレナ・ボナム=カーター
エヴァ・グリーン
ジャッキー・アール・ヘイリー

公開日:2012年5月12日(米国)2012年5月19日(日本)

個人的評価★★★★☆ (4.0)

・ストーリー

1760年、イギリスの裕福な家庭で産まれ育った幼い息子、バーナバス・コリンズ(成人後の配役はジョニー・デップ)は新しい事業の開拓を目指した両親と共にアメリカへと渡航・移住し、移住先であるメイン州コリンズポートで始めた水産業が見事に成功を納める。大人になったバーナバスは会社を引き継ぐ予定で、全てが順風満帆に進むと思われた。

しかしハンサムで実力もあるバーナバスはご多分に漏れず遊び人で、使用人であるアンジェリーク(エヴァ・グリーン)へもチャッカリ手を出していた。遊ばれたとは知らずバーナバスに結婚を迫るアンジェリークと、それを断るバーナバス。アンジェリークはこのこの恋が決して実らない事を悟ると、愛する思いが憎悪へと変貌する。

…と、ここまではありがちな恋愛ドラマ的展開で事が済みそうなものだが、彼女は他の人間とは決定的に違う一面があった。

彼女は「魔女」だったのだ。しかも不老不死、強力な妖術を操る魔女…。恋に破れた怒れる魔女・アンジェリークは妖術でバーナバスを吸血鬼へ変え、彼も不老不死の肉体へと変貌させた。

吸血鬼となってしまったバーナバスは、彼を恐れる町の人々の手によって捕らえられ、棺桶と共に深く地中へと葬り去られる。

…そして、それから200年以上経った1972年、眠りから蘇ったバーナバス対アンジェリークの愛と復讐の闘いが再び始まるのだ…。

・私の評価

これまでも「吸血鬼モノ」って色々と登場してきましたね。単純にホラー・サスペンスとして楽しめるものから、トム・クルーズやブラッド・ピットらが複雑な人間関係(吸血鬼関係!?)を織り成す「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1984年・米)」、吸血鬼一族と狼男の一族が対立し、数百年にも渡る戦いを繰り広げるアクション色の強い作品「アンダーワールド(2003年・米)」など、私が知るだけでもまだまだ数多くのジャンルの作品があります。

そんな幅広いジャンルが発表されている「吸血鬼モノ」ですが、今回の「ダーク・シャドウ」はどちらかというと「愛」と「嫉妬」に重きを置いた「ラブ・ヒューマン・ホラー」モノとでも言いましょうか。

この作品にはバーナバス(ジョニーデップ)が唯一愛し、結婚を約束していた女性「ジョゼット・デュプレ(ベラ・ヒースコート)」なる人物が登場します。彼女は嫉妬に狂ったアンジェリークに呪いを掛けられ、崖から身を投げ残念な結果となる女性で、後に作品のキーマンとなる人物です…が、私の視点としてはやはり「バーナバス」と「アンジェリーク」の関係性が中心となります。

作品の冒頭部分では「バーナバスの自分勝手な遊びの恋が招いた自業自得の結果(呪い)」という印象で、吸血鬼に変えられた彼に同情したり感情移入したりは出来ませんでしたが、物語の中盤から終焉に至っては「憎しみながらも永遠にバーナバスを愛するアンジェリーク」という印象が強く、彼や彼に関わる人間をどんなに強気で痛めつけても、心の奥底では「バーナバスに振り返って欲しい」という思いがヒシヒシと伝わってくるアンジェリークの健気(けなげ)さが、とても身に染みて泣けてしまいます(泣)

つまり、自分と同じように彼も不老不死にして、いつか彼自身の気持ち・彼自身の口から「結婚して欲しい」という言葉を待っている、というか…(彼女の魔力を持ってすれば、バーナバスの心を操って結婚する事は可能だったはずなのに、あえて彼自身の心変わりを待っていたフシがあるのです)。

…と、これ以上私的評価を述べてしまうとかなり作品のネタばれになりそうですし、私の主観を押し付けてしまう事になりそうですので、この辺で留めておきます。

ただ、先述にあるようにこの作品は決して怖いだけのホラー作品ではなく「恋愛モノ」としてもとれ、また「ヒューマン・ドラマ」としても十分楽しめる作品だと思います。

さすがは「ティム・バートン×ジョニー・デップ」コンビの作品。

ハズレが無いですネェ~^^