配 給:Embassy Pictures(米国)UA(日本)

監 督:マイク・ニコルズ

出演者:
ダスティン・ホフマン
アン・バンクロフト
キャサリン・ロス

公開日:1967年12月21日(米国)1968年6月8日(日本)

個人的評価★★★★☆ (4.0)

・ストーリー

卒業を機に帰郷した大学陸上部のスターであったベンジャミン(ダスティン・ホフマン)。友人親戚一同が集った卒業記念パーティーに出席するも、ベンジャミンは素直に喜べない何かを感じる。

そのパーティーで、父親の職業上のパートナーであるミスター・ロビンソンの妻であり、幼なじみエレーンの母であるミセス・ロビンソンと再会する。卒業記念のプレゼント、赤いアルファロメオ スパイダー・デュエットでミセス・ロビンソンを送ったベンジャミンは、彼女から思わぬ誘惑を受けるが…。

・私の評価

古い洋画が好きな方なら、観賞経験が無くとも一度は耳にした事があろう大ヒット青春ドラマ「卒業」。私はどちらかと言うとアクションやサスペンス・SF系が好み。この作品のイメージとしては「よくある日常生活の一片」的な内容で、スリルも何も無いものだろうと思い、半ばスルーしてきた作品でありました。

ですが、私の大好きな俳優の一人であるダスティン・ホフマンの出世作という事で、一度は目を通しとかなきゃ…ぐらいの気持ちで観てみた本作。

…見事に期待を裏切られました(もちろんイイ意味で^^)。

まず、主演のダスティン・ホフマンが、若い!!(笑)大学では学業からスポーツまでトップクラスの成績。しかも容姿端麗で完璧なはずのベンジャミン(ダスティン・ホフマン)ですが、周りの期待とは裏腹に「卒業後、何を目指せば良いのか・このまま親が敷いたレールを突き進めば良いのか!?」という優等生にありがちな等身大の青年の苦悩を描いています。

その苦悩に満ち溢れるベンジャミンの前に現れ、誘惑するミセス・ロビンソン。彼女の旦那は父親の仕事仲間であり、また娘・エレーンは彼の同級生で幼なじみというからこれまたややこしい。

そして結局は婦人の誘惑に負け深い関係となっていくのですが、幼なじみのエレーンにまで恋心を抱き、付き合う事に。後にエレーンの母親との深い関係が暴露されるシーンは、ある意味サスペンスです(笑)

こういったシチュエーションって現実離れしている様にも見えます。が、真面目に学生生活を過ごした学生が卒業後いきなり社会に放り出され、人生の選択肢に悩まされ…と思えば、誰にでもこういった局面に立たされる可能性はあるのでは!?と感じました。

この作品はかなりの旧作となりますので、カメラワークや映像編集の面で若干の物足りなさを感じてしまう方もいるかも知れません(無理やり編集したと見られる不自然なシーンもあります(笑))。ですが当時の作品は(特殊技術に頼らない分)脚本の深さや製作者の思い入れが深いものが多いと感じられる気がするのです。

作品のオープニングだけではなく随所・要所に挿入曲として流れるサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」も哀愁漂うイイ演出です。

決して退屈な青春ドラマでは無いと思いますので、幅広い層の映画ファンの方々におススメの1作です^^